アネモネ手帖

小説家・三木笙子のブログ

寒い寒い冬の朝目覚まし時計に起されて 『すみだ川・新橋夜話』永井荷風

今後1週間、全国で冷え込み=日本海側は雪増える―気象庁 (時事通信) - Yahoo!ニュース

ワタシ自転車通勤なんですが……。
しかも片道45分よ。

寒い寒い冬の朝目覚まし時計に起されて慌忙しく洋服を着る辛さ。雨の降る堀端に電車を待つ儚さ。乗ってからは雑踏の苦しさ。


『すみだ川・新橋夜話』永井荷風岩波書店)P158

以前もブログで引用しましたが、冬になると激しい共感をもって思いだすこの短編。
芸者さんの、いわゆる旦那になった男性が主人公です。
前向きさのない、ずるずると滑り落ちていくだけの話なんですが、不思議と読後感の良い小説です。
ふらんす物語』の「巴里のわかれ」も、日本に帰りたくないと、ひたすら嘆いているだけの話で、成人男子がこんなにも泣きごとばかり並べていたら苛々するのは必定なのですが、読んでいると、こんなにパリが好きなんだから残してやればいいのに、この人に普通の会社勤めは無理だよと、同情したくなってきます。
くどくどと負の内面を描いて、それがうっとうしくなく、かつ読み手のネガティブな感情を引き起こさない文章って憧れます。

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