アネモネ手帖

小説家・三木笙子のブログ

5つのグズグズ・ダラダラを引き起こす脳の働きを脳科学で分析する

今月の「プレジデント」の特集は「なぜ、時間をムダにするか?」で、巻頭特集は「今日やるべきことを後回し『グズの悩み解決』Q&A」です。

1.朝は苦手でも早起きして仕事すべきなのか
2.仕事のトラブルを引きずって集中できない
3.探し物が見つからない。記憶力が悪く効率が悪い
4.飲み会で酔ったときの記憶を思い出したい
5.サボリ癖、飲みの誘い……甘い誘惑に弱すぎる

 この「5大グズ」を、三人の脳科学者が説明しています。

 

1.朝は苦手でも早起きして仕事すべきなのか

 お二人の先生が逆の意見をおっしゃっています。
つまり自分で考えて選べと。ごもっとも。
私も以前、早起きにトライしたことがあるのですが、寒い冬の時期は続けることができたのに、春になった途端、起きることができなくなりました。
春眠暁を覚えずを身体で悟りました。

私はおよそ小説家らしからぬ時間割を持っている。
起床は冬ならば午前六時、夏には午前五時で、つまり未明に目覚めるのである。


『君は嘘つきだから、小説家にでもなればいい』浅田次郎「継続という実力」P169

君は嘘つきだから、小説家にでもなればいい

君は嘘つきだから、小説家にでもなればいい

 

 辻邦生先生も朝型でしたし、やっぱり早起きは憧れますね。

 

2.仕事のトラブルを引きずって集中できない

脳は基本的に嫌なことほどよく覚えています。(泰羅雅登先生)

よく分かりますとも。
結局、「楽しいことでカバー」して、見ないふりをするしかないようです。

ぼくは、当時、ある男に手ひどく裏切られましてね、精神的な苦境にあったのです。(中略)そこで、ぼくは、一冊の本を五十日で書き上げようとしたわけです。(中略)こうしてぼくは五十日のあいだ夢中になって書きつづけました。他のすべてを忘れていられました。


『黄金の時刻の滴り』辻邦生「黄金の時刻の滴り」P155~156

黄金の時刻(とき)の滴り

黄金の時刻(とき)の滴り

 

 「ぼく」はスタンダールのこと。
とにかくうまく目をそらす、ごまかすことが肝心のようです。

 

3.探し物が見つからない。記憶力が悪く効率が悪い

あたりまえですが、自分が興味を持っていることは覚えやすいし、嫌だと思えば覚えにくい。忘れっぽい人は、その対象に関心を持つことから始めるべき。(米山公啓先生)

先生!

まったく興味がないのに覚えなければならないことがある場合、それに関心を持つ方法を教えてもらえませんか。

父を満州にひっぱった、松本侠という伯父がまた不思議な男でした。この伯父は入学試験を受けたことがない。二高に入るときも東大に入るときも無試験だった。今でいう推薦入学だったのでしょうね。直観像体質というのではないかと思うのですが、べらぼうな記憶力の持主で、見ただけでみんな覚えてしまう。

 

『闇屋になりそこねた哲学者』木田元「父のこと、満州のこと」P14

闇屋になりそこねた哲学者 (ちくま文庫)

闇屋になりそこねた哲学者 (ちくま文庫)

 

 小説の設定を常に忘れている私からすれば、本当に羨ましい話です。
私の帝都探偵絵図シリーズにも、ずば抜けた記憶力を持っているがゆえに事件に巻きこまれる男性が出てきます。

世界記憶コンクール (創元推理文庫)

世界記憶コンクール (創元推理文庫)

 

 

 4.飲み会で酔ったときの記憶を思い出したい

お酒飲んで記憶が飛んだことってないんだよなあ。
だってすぐに酔いがさめるんだもん。

 

5.サボリ癖、飲みの誘い……甘い誘惑に弱すぎる

女性は誘惑ではなく不安に負けて、重要な仕事を後回しにする傾向があるそうで、中野信子先生が「損害回避傾向」という切り口で分析しています。
アドバイスは、敢えてギリギリの状況に追いこんでみること、そしてこまめに報酬を与えること。

冷たくひやした辛口の白ブドー酒を前にして、骨つきのトリを熱心にたべているそのおじさんの嬉しそうな満足そうな顔つきは、「つらい勤めもこの楽しみあらばこそ」といったふうで、フランスでなくては眺められぬ風景だった。

 

『巴里の空の下オムレツのにおいは流れる』石井好子「また来てまた見てまた食べました」P34

巴里の空の下オムレツのにおいは流れる

巴里の空の下オムレツのにおいは流れる

 

 やはり食べ物で釣るのが王道か。まさに「餌」。

 

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