アネモネ手帖

小説家・三木笙子のブログ

気持が落ち着かないときに読むと心が静まる詩3選

生きて愛するために (中公文庫)

生きて愛するために (中公文庫)

 

あなたは 今も貞淑な静寂の花嫁
静かさと 緩やかな「時」の歩みに育てられた子供
わたしたちの詩よりも さらに華やかな花物語
このように語り伝える 森の物語師

キーツの「ギリシャの古い瓶に寄せて」という詩で、出口泰生さんの訳を辻先生が引用なさっています。
言葉のひとつひとつが美しいです。

 

黄金の時刻(とき)の滴り

黄金の時刻(とき)の滴り

 

 子どもたちがみんな眠ると
自然は あちこちの星々の光がはっきり見えるようにと
遠くへ身を引いてゆく――
そして空から身を屈めて

限りない愛情と――
この上ない心遣いをこめて――
黄金の指を唇に起き
あたりが静かになるように――願うのだ

 作者はエミリ・ディキンスン。
小説の中で使われているので、翻訳は辻先生だと思います。
優しさと思いやりに溢れる詩。

 

イタリアの詩人たち 新装版

イタリアの詩人たち 新装版

 

わが生よ おまえに 明らかな輪郭など
求めはしまい とり澄ましたところで ものに憑かれたとて
わたしにとっては同じこと 不安におののくおまえの道程では
蜜も苦蓬も おなじ味わいを 持つ

エウジェニオ・モンターレの作品。
翻訳は須賀敦子さん。
ちょっと幼いかなとは思いますが、諦めと静けさが心地よいです。

良い詩なり文章なりを読むと、その瞬間に心の周囲に堤防が築かれて、中に水がどんどんたまり、乾いた心が潤うような気がします。
そういうものをたくさん読みたいですし、いつか書けたらと願っています。

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