アネモネ手帖

小説家・三木笙子のブログ

「RUSH プライドと友情」 監督 ロン・ハワード / 脚本 ピーター・モーガン / 出演 クリス・ヘムズワース ダニエル・ブリュール

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(若干ネタバレあり)
40年くらい前のF1の実話で、「自由奔放なカリスマ」ジェームズ・ハントと「走るコンピューター」ニキ・ラウダ、この二人のライバル対決が大筋です。
詳細は公式サイト参照のこと。

 
ラウダとハントは真逆の性格をしているのですが、互いに互いの苦しさが分かります。
子どもの頃から憧れていた大舞台に上がり、世界中が注目する中で、文字通り命がけのトップ争いをしている。
そのプレッシャーは同じ立場の人間でなければ分かりません。

だが、少くとも私には、彼がただ一人で寡黙に支えつづけているものの重さがわかるのである。そしてもし人間に何か生きるに値することがあるとして、それが人間に与えられているとすれば、それは、こうした重さを自分の重さと感じることではないのか。(中略)そこには、なりもふりも構わぬ、一種の狂気じみた激しさがある。だが、この狂気をほかにして、一体何が「事を成さ」しめるだろうか。人はそれを信念と呼び、また押しと呼ぶであろう。だが、重要なことは、彼が担うべき重さを感じているということである。彼はこの重さを自分の肩に担うことを選び、それを最後まで引き受けようとしているのだ。そうなのだ、彼は自分自らと格闘しているのだ。彼にとって爾余の評価はどうでもいいことなのだ。彼がこの重さのなかでいかに燃えつきるか――その燃焼の激しさにのみ、すべてがかかっているのだ。

 

『安土往還記』 辻邦生 (新潮社)

 しかしそれでいて、この二人はまったく似ているところがありません。
自動車を速く走らせることが好きだということを除けば重なり合うところがない。
同じ場所を目指し、同じ場所に立っているのに、自分とはどこまでも違っている。

不思議だなあ。
たくさん人がいたのに、何でお前なんだよ。
まあでも、ここまで来たんだから、頑張りましょう、よろしく。

最後のレースのスタート地点で、互いに手を上げるシーンがとても好きでした。

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