アネモネ手帖

小説家・三木笙子のブログ

明治語のいい参考書

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明治時代に生きていた人は、実際どんなふうに話していたんだろうと思っていたところ、

 

三馬は言葉を写す手練にかけては名人といってよかろう。明治から今日にかけて、小説の対話のうまいといわれる人のものは、やっぱり三馬あたりの系統が引かれているのではないだろうか。紅葉山人の『夏小袖』などは、今となっては明治語のいい参考書だが、あの頃の都会派の文人のかいた言葉づかいには、三馬に学んだと思われるところがいくらもある。

 

『明治の東京』鏑木清方(岩波書店)

と書かれてあったので、良くも悪くも素直な私は早速読んでみました。
ちなみに「徳之助」はお兄ちゃんで、「そめ」はその妹です。

徳之助
羞かしながら、ちょびと物語らうかね、裏通りの、それ写真屋の横町の、角から三間目に、余り奇麗でない格子造の二階家があると思召せ、家内二人で、二人とも女子だと思召せ、若いのと年寄と思召せ、年寄が母様で、若いのが娘だ、其娘の美しさといったら、憚り多いけれどお前のような……、

 

そめ
はい、私はお多福、

 

徳之助
いいえさ、お前のやうな訳にはいかないけれど、随分美しいのだ、これさ機嫌を直して聞てくれといふのに、

 

そめ
私はどうせお多福、

 

『紅葉全集 第四巻』尾崎紅葉(岩波書店)

ううむ。ハードル高え。
刊行されたのが122年前であるのに加えて、ワタシは根っから田舎者だしなー。

 

しかし、この作品の会話のテンポは本当に惚れ惚れします。
喜劇だからということもありますが、卓球のラリーを見ているような小気味良さがあって、これは舞台にかけたらさぞかし面白いだろうなあ。

 

随筆集 明治の東京 (岩波文庫)

随筆集 明治の東京 (岩波文庫)

 

 

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