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アネモネ手帖

小説家・三木笙子のブログ

『皇帝フリードリッヒ二世の生涯』 塩野七生 (新潮社)

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今週の残暑の厳しさときたら、8/4の週の暑さよりも上かしらと思うほどで、それでも往復90分の自転車通勤を敢行しているワタシですが、今読んでいる本がとても面白いので、信号待ちの隙間も流れる汗と戦いながらページを開いています。

 

とはいえこれ(『十字軍物語』のこと)も取りかかる前は、とにかく面白い歴史アクションを書くつもりでいたのだが、書き進むうちにアクションはアクションでも文明論的なアクションになってしまった。だがこれも、私の悪いクセなんですね。アクション・オンリー、というのが書けない。女のくせに、女から見た歴史に興味が持てないのと同じだ。


『日本人へ 危機からの脱出篇』「自省録、あるいは白紙にもどることの愉しみ」塩野七生(文藝春秋)

「女なのに何で女の話を書かないの」とかって、結構たくさん言われたのかもしれないなあとご推察申し上げるのですが、これからもいい男がたくさん出てくる本を書いてください!と心から願っている、でも願わなくても大丈夫な塩野先生の『フリードリッヒ二世の生涯』を読んでいます。

 

でもさっき皇帝がお亡くなりになってしまいました。
自分の立場が不利になるのも承知で皇帝につき従い、一生を捧げた男たちは数多いのですが、その筆頭がパレルモ大司教ベラルドです。

その日は、病床の脇に椅子を引き寄せたパレルモ大司教ベラルドに、手を預けたままで一日が過ぎた。

 

二人の間では、ことさら何かを話す必要もなかったろう。四十年もの歳月を、ともに歩んできた仲であった。フリードリッヒが破門されれば、聖職者でいながらベラルドも一緒に破門される。その大司教に怒った法王が大司教区を取り上げれば、取り上げられるままにした。カイロのスルタンの許に行くように求められれば、キリスト教の高位聖職者でありながら、イスラム教徒と交渉するのも厭わなかった。(中略)自身は封建領主の家に生まれながら、封建社会から法治国家への移行というフリードリッヒの考えに彼も同意していたからだ。このベラルドにとって、十七歳年下のフリードリッヒの最後の日に、かたわらにいること以外の選択肢は考えようもなかったのではないかと思う。


『皇帝フリードリッヒ二世の生涯』「死」塩野七生(新潮社)

 キーボードを打ちながら、改めてベソベソと泣き直しています。

 

皇帝フリードリッヒ二世の生涯 上

皇帝フリードリッヒ二世の生涯 上

 
皇帝フリードリッヒ二世の生涯 下

皇帝フリードリッヒ二世の生涯 下

 
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