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アネモネ手帖

小説家・三木笙子のブログ

黄金色の時間

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今日は掛け持ちで用事をすませる間に、東京芸術劇場にあるカフェのテラス席でお茶を飲みました。

 
空は澄んで青く空気は爽やか、私が一年で一番愛する季節です。
ひとりで広いテーブル席を占拠するのは気が引けましたが、相席はさせないそうで、紅茶を飲みながら、好きな本を読んでいました。

 

駄目だ、幸せで息がつまる。

 

時間に余裕がある、好きなことができる、心配事がない(もしくは何とかなりそうだと思える)、などという贅沢には慣れていないので、幸せだと思いながらも、もう少し高いものを頼まないと店に悪いかしら、とたちまち心配しだすあたり貧乏性です。

 

時間が刻々に移ってゆくその一日の光の加減も、何か貴重なもののように、じっと仕事の手を止めて眺め入っていることがある。
「天使が楽しげに肩に触れてくるみたいね。そう感じない?」
ある春の明るい午前、ウィーンの屋敷の客間から花盛りの庭園を見ていたとき、叔母がそう言った。たしかに晴れた午前の、疲れを知らないすがすがしい光は、天使の優しさに較べるほかないような浄福感に満ちていた。


『黄金の時刻の滴り』「竪琴を忘れた場所」辻邦生講談社

 

庭園まで完備された侯爵家のお屋敷並みってわけにはいきませんが、贅沢な時間を過ごすことができました。
こういったときの時間を目で見ることができたとしたら、確かに黄金の色をしているのだろうなと思います。

 

黄金の時刻(とき)の滴り

黄金の時刻(とき)の滴り

 

 今週のお題「秋の気配」