アネモネ手帖

小説家・三木笙子のブログ

「死に赴かんとしながら遺した優美極まりない一句」 : 『江戸俳画紀行』磯辺勝(中央公論新社)

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何たる素敵帯。
思わず力が抜ける、この感じ。
この本では江戸時代の俳人とその俳画を紹介しています。

 

22人の俳人の中で、特に惹かれたのは松岡青蘿(まつおか・せいら)でした。

舟ばたや 履(くつ)ぬぎ捨る 水の月

 

私が青蘿といえばまず思い浮かべる、死に赴かんとしながら遺した優美極まりない一句だ。

 

月の夜は 地に影うつる 蛍かな

蘭の香は 薄雪の月の 匂ひかな

荒海に 人魚浮けり 寒の月

(六句挙げられているうちの三句を抜粋)

 

一読、月の句が多いことに気づかれるだろう。辞世の句(「舟ばたや~」)も月であったが、青蘿は日の光よりも、月光の世界に心を寄せた人のようである。

この方の句を読んでいると、現実の枠の中からふっと抜け出し、抜け出したその先には物語の大地が広がっているという、想像力が無限に引き出されていくような感覚を味わうことができます。

 

江戸俳画紀行―蕪村の花見、一茶の正月 (中公新書)

江戸俳画紀行―蕪村の花見、一茶の正月 (中公新書)

 

 

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