これが嵯峨本! : 国立公文書館「平成27年度1回企画展 恋する王朝」
本日30日から国立公文書館でスタートした「恋する王朝」展に行ってきました。
私のお目当ては「嵯峨本」です。
<嵯峨本>は、開版者角倉素庵の創意により、琳派の能書家本阿弥光悦と名高い絵師俵屋宗達の工夫が凝らされた、わが国の書巻史上燦然と輝く豪華本である。
高校生のときに『嵯峨野明月記』を読んで辻邦生先生の大ファンになりました。
そのとき「嵯峨本」というものも初めて知ったのですが、そんなに綺麗な本なら一度は見てみたいもんだ、でも400年近く前につくられた本だし、何だか凄そうだから、見る機会はないだろうと思っていました。
それがまさか、あれから20年以上も経って実際に目にする機会が来ようとは。
(なお今回の展示は写真撮影可です)
全体の展示はこんな感じです。
京都の嵯峨でつくられた一連の豪華本を「嵯峨本」と呼びますが、これは1608年刊行の『伊勢物語』。
これは表紙ですが写真版です。
こちらが本文。
木活字で印刷されています。
こちらも本文。
挿絵がついています。
横から見たところ。
私は『嵯峨野明月記』が大好きで、この20年間というもの繰り返ししつこく読み続けているのですが、この小説の登場人物たちがつくりあげた本が、今まさに目の前にあるのだと思うと、フィクションと現実が混じりあったような気がしました。
これが嵯峨本、これが本物かと。
「ただ読めればいいという本だけではなく、そばに置くだけで、香が匂うように美しさが仄かに漂うような書物が求められているのです」
私もそんな本をつくりたいと思っています。