読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

アネモネ手帖

小説家・三木笙子のブログ

苦しいときでも笑ったほうがいいのか、それとも正直に辛そうな顔をしたほうがいいのか

daily

f:id:anemone_feb:20160127190658j:plain

落ちこんでいるときは無理に明るくしなくてもいいんじゃない?と思っていたのですが、改めてどちらにメリットがあるのか考えてみました。

 

【メリット】
・まわりの人が、「あんな状況下でも笑顔でいられるなんてあの人は立派だ」と思ってくれるかもしれない。
・笑っていると他人がそばに寄ってきやすい(怒っている人には誰も近づかない。悲しんでいたらなぐさめてくれるだろうけど、ずっと同情はしてくれない)。
・笑った顔を作ると脳も「楽しい」と誤解して何となく楽しくなってくるって、昔読んだ本に書いてた。

【デメリット】
・まわりの人が、「あんな状況下でも笑顔でいられるんだからあの人は強い。だから放っておいても大丈夫」と判断して助けてくれない。
・場合によっては可愛げがないと思われる。
・笑いたくもないのに無理やり笑っていると、いずれ心がついていけなくなるような気がする。

 五分五分か、と思うのですが、ここで「損得」という物差しを導入してみます。

「外交とは、正直で嘘をつかないことが一番効果を発揮すると、イギリス人は考える。外交において嘘をつけば、一時的に有利になることが多い。しかし有利になるからといって、いつも嘘をついていれば信用がなくなる。長期的には信用を失うことによって喪失する利益のほうが、嘘をついて得る利益よりもはるかに大きい。それが外交というもので、だから外交において嘘をついてはいけない」
ハロルド・ニコルソン 『外交』 (東京大学出版会)

 

要はHonesty will payで、「正直者は得をする」というわけです。これがイギリス的プラグマティズムです。
日本人も「嘘をついてはいけない」といいます。ただしその理由として「損をするから」と教える人はあまりいません。親が子どもを教育するときも、そのように教えないでしょう。そこに日本人とイギリス人の「嘘」に対する決定的な違いがあります。

 

『日本人が知らない世界と日本の見方』 中西輝政 (PHP研究所)

泣いたり凹んだりしたら、逆にまわりが積極的に構ってくれるほど、魅力的もしくは幼い場合は笑わなくてもいいと思います。
むしろ泣き顔・憂い顔に自信のある人は笑わないほうがいいかもしれん。


だが、そうでない場合はどうでしょう。
どんなときでも自力救済できる人というのは稀も稀で、大抵はまわりの人に助けてもらう必要があります。
すると、まず一番に考えなければならないのは、人が自分から離れていかないように手を打つことです。
つまり、アイドルか幼児でもなければ、素直な感情アピールよりも、まずは笑顔を作ったほうが辛い状況から脱する可能性が高くなるかもしれません。
もちろん、できるかどうかは別問題ですが。

 

ただし、辛いんだってことを、自然かつ十分に他人にも分からせた上で、「私は大丈夫」アピールをしないと、「あの人は強いから大丈夫」と思われかねません。
「辛いけど……でも頑張る!」っていう態度が重要なのだと思います。
余談ですが、オコジョさん(夫)は、拙著『世界記憶コンクール』「氷のような女」に出てくるタミという少女を贔屓にしています。
ただの脇役なのですが、今もその行く末を案じています。
幼いながら歯を食いしばって涙をこらえていた健気さに打たれたとのこと。
ははあ、健気ねえ。
いくつになっても、この健気な感じが大切なんでしょうねえ。
しかしもはや愛らしい少女ってトシじゃないから、「伝える力」より演技力の問題のような気がしてきました。
よし、次は演劇関係の本を読むか。

 

幻冬舎plus 電子書籍【期間限定価格】

≪30%OFF≫ 656円→459円
三木笙子『クラーク巴里探偵録』(幻冬舎)
この機会に是非どうぞ!
20世紀初頭の巴里が舞台のミステリー。
曲芸一座の気難しい番頭が探偵で、料理上手な世話好きが助手です。

 

★「三木笙子の新刊・既刊」に三木笙子の詳しい仕事情報をまとめています。

広告を非表示にする