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アネモネ手帖

小説家・三木笙子のブログ

【夫婦善哉】今日のオコジョさん67 : たとえ記憶をなくしても

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ワタシは往復90分の自転車通勤をしているのですが、先日、日曜出勤をして、やれやれやっと家につきましたよと、マンション二階の自転車置き場へと通じる専用エレベーターの前で自転車を下りました。


このあたりの説明は誠につまらないと思うのですが、状況を説明しないと分かってもらえそうにないので、申し訳ありませんがもう少しだけ読んでください。

 
ワタシはいつもエレベーターの前に自転車を止めて、一階のポストに郵便物を取りに行きます。
二階に自転車を置いてから一階に下りるのが面倒だからですが、数分は自転車を放置することになります。


で、その日は運悪く、ワタシの後に続いて自転車に乗った人がやってきました。
入り口で自転車を下り、押しながら中に入ってくるのが見えます。
専用エレベーターのある場所は屋内で、今の季節はすでに薄暗く、しかも逆光で、住民であるのは間違いありませんが、誰が来たのかまでは分かりませんでした。


しかしいい男だということは分かりました。
手足のすらりとしたスタイルのいい男性だったからです。
誰も興味がないと思いますが、ワタシの美男の基準は顔よりスタイルです。
「いい男が来た!」と思ったワタシは、影にしか見えない男性に向って、できるだけ愛想良く(当社比)話しかけました。


ワタシ「すみません!ポストに行ってくるので先にエレベーターに乗ってください」


と言っても、影の男性は何も言いません。
世には「ツンデレ」というキャラクターがあるそうですが、「デレ」しかないと自他共に認める正直素直なこのワタシ、浮かれすぎたかと反省した瞬間、近づいてきた男性の顔が見えました。


ワタシ「オコジョさん!」
オコジョさん(夫)「何をやっているんですか、貴女は」


ずいぶんいい男がいると思ったら、何とオコジョさん(夫)でした。
小説家が書いているので疑われそうですが、まごうかたなき実話です。


オコジョさん(夫)「他人行儀に話しかけるから何事かと思えば……」
ワタシ「気づいてたんなら声かけてよ」
オコジョさん(夫)「ひとしきり笑ってからです」


いらぬ恥をかきましたが、たとえ姿がよく見えなくても、ああいい男だなと思うくらいだから、たとえ記憶喪失になっても、私はまたオコジョさん(夫)につきあってください結婚してくださいと拝み倒すのだろうなと思いました。

 

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