アネモネ手帖

小説家・三木笙子のブログ

人間には感情移入しないけれど : 『獅子吼』 浅田次郎 (文芸春秋)

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(ネタバレあり)


読書家の知人が集まったときに、「浅田次郎のどこがいいの。いつも同じ。泣かせて終わりでしょ」と言われ、「だからいいんでしょうが!」と怒鳴り返し、じゃなかった、反論したのですが、同じように小説が好きでも、こうも感想が違うのだなあと思ったことを覚えています。

それはともかく、浅田先生の新刊ですよ。
必ず泣くので外では絶対に読めません。
今回は短編集ですが、表題作の『獅子吼(ししく)』は読んでいて辛かった。
何が辛いといって、書いてらっしゃる浅田先生の心境を思って、です。

私の小説には動物がほとんど登場しない。動物を書こうとすると悲しくなるのである。人間を描く分には、どのような悲劇であろうと感情を移入させることはないのだが、たとえ猫一匹でも文章を考えるだけで涙が出てしまう。


カッシーノ!2』浅田次郎幻冬舎)p119

とまでおっしゃる方が、この『獅子吼』。
お読みになっていない方のために簡単に説明すると、戦時中に食べ物がなくなってしまい、動物園の動物を殺さなければならなくなる話です。
それほど動物が好きではない私でも胸が詰まりますが、好きな方が読んだら倒れるんじゃなかろうか。
ましてや浅田先生なんて、ペンギンを見て「かわゆい」としか書けないくらい、動物大好きなんですから。

そんなことを考えていたので、いつもより泣き、かつ読み終えるのに時間がかかりました。

 

【三木笙子プロフィール】

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デビューした時から「仕事や勉強の後にほっとした気持で読むことができる小説」を目指してきました。

読者に「優しくて暖かな雰囲 気」「心地よい哀しみと快い切なさ」「読後感の良さ」を提供したいと思っています。

好きな作家は辻邦生平岩弓枝浅田次郎

 

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