よそ見寄り道良い人生
前述の通り、オコジョさん(夫)と一緒にいるときは前を向いて歩かないワタシですが、先日、図書館からの帰り道にふと思いました。
確かにワタシは横ばかり向いている。
だがちゃんと足は動かしているのだ。
「(前略)しかるに奇とすべきは、彼が康衢通逵(こうくつうき)をばかり歩いてはおらずに――」
「閣下、あんまし難しい言葉をお使いにならねえでおくんなさい。何分、無学なもんで」
老人(森鴎外)は頭をめぐらせて、笑いもせずにひとつ肯いた。
「つまり、歩きやすい大通りばかりを歩いてはおらずに、往々径(こみち)に立ち寄ってさまざまの雑学を弄んだ。私はそういう抽斎がうらやましくてならない。国家の言うなりに、なさねばならぬ仕事ばかりに追いまくられた結果がこれだ。御両君とも、よい仕事をなし、よりよい人生を送りたくば、けっしてお上に与してはならんよ。大道はいっけん歩きやすいように見えるが、振り返っても足跡は残らず、先を望めば涯てがない」
ワタシ「よそ見してればいろんなものが目に入るし、前には進んでるんだからいいんじゃないの」
オコジョ(夫)「前を向いて歩いてください」
納得してもらえませんでした。
今週のお題「これって私だけ?」