アネモネ手帖

小説家・三木笙子のブログ

辻邦生山荘見学会に行ってきました

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軽井沢高原文庫主催の辻邦生山荘見学会に行ってきました。
高輪のマンションとパリにあるアパルトマンは引き払っていらっしゃるので、現存の仕事場はここだけです。
(なおこの見学会は写真撮影・地図禁止です)

 
山荘ではプライベートルーム(寝室等)を除く部屋を見ることができます。
私は時間いっぱい辻先生の書斎に張りついていました。
ここで辻先生が小説をお書きになっていたのかと思うと離れられるものではありません。


書斎は長方形で、広さは八畳ほど(段差あり)。
三方の壁に本棚が並んでいますが、吹き抜けになっているのと、高輪の書斎と較べるとそれほど本がないのでさほど圧迫感はありません。
書斎に入ると左手に大きな机が置かれており、椅子に座ると右手が窓です。
机の上は、辻先生が亡くなられたときから動かしていないそうで、16年間同じままです。
机の中央には書きかけの原稿用紙、右手にはかごに入ったたくさんの鉛筆、手前にリルケの本と辞書、左手にエッカーマンの『ゲーテとの対話』全三冊。
そして左手奥には辻先生の御本が表紙が見えるように並べられていて、一番前は北杜夫さんとの往復書簡である『若き日の友情』でした。
この本は辻先生が亡くなられてから出た本なので、奥様が置かれたのだと思います。
それから書斎の中には「立ち机」も置かれていました。
眠らないように立ったまま本を読むための机で、高さは大体105センチくらいでした。
辻先生の書斎の反対側には奥様の書斎があるのですが、元々は辻先生が使われていたそうです。
でもあるとき「お化けが出そう」と言われて取りかえたんだとか。


拝見できて本当に良かったです。
いつもすぐに定員が埋まってしまうそうなので、参加したいとお考えの方はこまめに軽井沢高原文庫さんのサイトをチェックしてみてください。

 

(使用している写真は記事と関係ありません)